寺領の家

この家は、家族の居場所に吹抜けを持ちます。
この空洞は、家族の日常生活を包み込む居場所として、
太陽の光、陰影、風といった季節や時間と共に移ろうものと日常をつなぐ場所として、
そしてこどもの成長など変化していく家族の時間を受けとめる場所としてのおおらかさがあってほしいと思いました。

この空洞は、設計の始まりから終わりまで施主と共に考えたこの建築の骨格であったと思います。

用途:住宅
構造規模:木造2階建
2019年9月
場所:島根県雲南市




ハイサイドライトから午前の光が射し込みます。
光を受けとめる壁、そして天井。
開口部をつくることは光を受けとめるしっかりした面(壁、天井)をつくることと対になります。





リビングはデッキテラスに面しています。内と外をつなぐ開口部。連続する板張りの壁。それらを成立させる為の納まりが集中する場所です。







ダイニングそして対面キッチン。天井はシナ合板を市松に張っています。







ダイニング。
吹抜けをつくるときは、低めの天井との組み合わせがポイントになります。
吹抜けだけだと落ち着きがなく、低い天井だけだときゅうくつになりがちですが、両方が並んであると、お互いの良さを引き出してくれます。





一枚の壁が内と外をつなげ、一方では小上がりのある畳コーナーの囲いをつくっています。







小上がりのある畳コーナー。畳の床下は引出し収納になっています。







造り付け(家具工事)のキッチン。







造り付け(家具工事)のキッチン。
メーカーの既成品のような多くの機能は望めませんが、既製品には無いシンプルさがあり、素直な素材を建築と揃えて使うことができます。
既成品は古くなる一方ですが、造り付け(家具工事)のものは、使い込むほどに愛着がわくと思います。





デッキテラス。
軒の出の無い外観ですが、ところどころ凹みをつくり、内外をつなぐ軒下のような場が生まれました。
凹みは仕上を板張りとし、建具はアルミサッシではなく木製建具としています。
木製建具は建築と一緒にデザインできるので、内外をつなぐポイントの場所には欠かせません。




玄関も人を招く大切な場所なので木製建具としています。







玄関内観。







勝手口。上部の庇は低めに抑えてあります。
人を出迎える場所の高さは低めの方が建物を身近に感じます。






洗面台。これも既製品ではなく現場で大工さんに造り付けてもらいました。
建築と一緒にデザインできるので一体感があります。






寝室。枕元のニッチ。
枕元灯と携帯の充電用コンセントが設えてあります。
(撮影 宇田川孝浩)





造り付け(家具工事)のキッチン。
(撮影 宇田川孝浩)






工事中のスナップ写真。
(撮影 宇田川孝浩)






竣工間際のスナップ写真。
(撮影 宇田川孝浩)






竣工間際のスナップ写真。
(撮影 宇田川孝浩)

写真撮影  岡田泰治(特記あるものを除く)